相続や介護に関する不安を解消 ~ 渋谷の司法書士と作りました ~

「葬式は、要らない」

書評

 我々、アラ還世代は、親の葬式に直面する世代であるが、どれだけ葬式のことを考えたことがあるだろうか。本書は、葬式の細かなやり方や作法について説明しているのではなく、葬式に臨むにあたっての基本的な考え方について、歴史をさかのぼると共に、近年の日本人の生活環境の変化に基づいて解説を行っている。

 最近、近親者だけで行う「家族葬」が増えてきているそうである。また、散骨や、樹木葬、さらには宇宙葬という言葉も耳にする。筆者によると、葬式の簡略化が進んでおり、それは、地方から都市への人の流れ、核家族化、故人の高齢化により、葬式が「家の儀式」から「個人の儀式」へと変化してきたためと説明している。

 興味深かったのは、戒名に関して詳述した内容である。戒名を授かるには、通常、「戒名料」が必要であり、高額であるというイメージがある。本書では、戒名とはどのようなもので、どのように成り立ってきたかなど、戒名をどのように考えれば良いかについての指針を与えてくれる。

 葬式は、故人のためにも立派なものにしたいという人もいれば、世の流れに合わせて簡略なものにしたいという人もいる。本書は、葬式に関する考え方を幅広くカバーしており、私を含めたアラ還世代にとっては、普段は考えることのない自分や親の葬式について、自分なりの考えを持つ良い機会を与えてくれる一冊と言えよう。

(by おやじ1号)

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