書評

　以前、サザエさんの磯野家をモデルにした相続に関する本を読んだことがあるが、今回は、磯野家をモデルにした、実家に住む親が亡くなった際の片づけに関するアドバイス本である。内容としては、実家の片づけ、遺品整理、相続、空き家問題、生前整理といった中身で、高齢の親を持つ我々世代にとって、気になるところを広く浅くカバーしており、入門書としては、サザエさん一家の会話形式を中心にしており、とても読みやすく理解しやすい本である。

　私自身、父親が昨年亡くなり、今現在、母親が実家で一人暮らしという状況、しかも母親がなかなか父親の遺品の整理が出来ないままの状況が続いており、思わず本書を手に取った次第である。本書にも書かれているが、戦争を経験し、物を捨てられない世代に、むやみに「使わないものは捨てて」と言っても、全く通用しない。そういった場合の対処方法なども書かれており、そのあたりは今度、トライしてみようと思う。

　ただ、相続に関する部分などは、本書だけでは細かい部分まではカバーしきれておらず、弁護士や司法書士に相談するよう書かれており、そういう意味でも、入門書として読まれることをお薦めしたい。

　私も長年、日曜の夕方はサザエさんを見てきたが（ここ数年は、見なくなってしまったが）、本書の会話部分を読んでいると、アニメのイメージが頭に浮かび、すんなりと状況が頭に入ってきた。まだ、ぼんやりと実家の片づけや相続などが気になっている方には、こういった書籍で、どういう点が争いの素になったり、関係者の手間になったりするかなどを理解し、少しでも準備を進めていただければと思う。
経験者より。

（by おやじ1号）