はじめに
相続税法の改正による相続税の基礎控除額の引き下げ以降、相続税対策を気にかけている方が多いかと思います。しかし、気にかけるべきことは、本当に相続が発生した後のことだけで良いのでしょうか。超高齢化社会になって寿命が延びた日本においては、相続税対策だけではなく、認知症などで本人の判断能力が低下した場合のリスクにも備える必要が出てきたと言えます。この認知症対策としては、従来から成年後見制度というものがありますが、本制度の利用には限界があります。そこで今注目されているのが、家族信託です。特徴は、所有権とは別に受益権を設定し、それを誰が、またいつまで保有するのか、などを契約により柔軟に設定できる点です。本特集では、家族信託について理解を深めていただけるよう下記の目次に従って解説します。