本サイト構築の時点で、身内の相続が近いと思っていたが、ついにそれがやってきた。しかも、厄介な相続争いこそなかったものの、亡くなったのが身寄りのない叔父で、法定相続人になる私の父(亡くなった叔父の兄)が高齢のため、私が代理で手続きをすることになった。更に追い打ちをかけるように、法定相続人である叔母(叔父の姉)が手続き中に亡くなり、その後、兄弟を追いかけるかのように、私の父も手続き中に亡くなり、自分の父の相続も並行して進めるという事態になってしまった。もっと言うと、唯一残った叔父の兄弟(亡くなった叔父の兄)は成年被後見人である、というおまけ付きである。
実は、まだ手続きは進行中であるが、全てが終わる頃には、私は相続手続きのプロになっているのではないだろうか。そのくらい知らない事や面倒な事がたくさんあり、今回は、もちろん司法書士の井手さんに相談したのだが、複雑な場合には、やはり専門家なしでは到底対応しきれないと思う。
私自身が今回経験した(また、これから経験する)内容を、これから何回かに分けてご紹介させていただこうと思いますので、お付き合いいただければと思います。
まず第1回目の本コラムでは、相続財産の調査・評価に関する体験談をお伝えしようと思う。叔父は、とある病気で約7年間介護施設に入っていた。その間、私の両親が諸々の世話をしていたのだが、私の両親も高齢であったため、叔父の指示でお金の管理をする以外は、叔父のマンションについても郵便物を時々確認に行く程度であり、叔父が亡くなって相続財産を調査するとなった時点で一抹の不安がよぎった。
家、マンションの権利書は見つからなくても大丈夫
叔父の葬儀が一段落した時点で、7年間住んでいないマンションに行ってみた。想像していたとは言え、まず中に入って、そのカビ臭さにはまいった。早速、全ての窓を開けたが、その程度で消えるカビ臭さではなく、プロの掃除屋さんに任せるしかないと感じた。それ以上に、このマンションを売るのか、誰かに相続させるのか、誰と相談すればよいのか、など考えるだけで疲れを覚えた。ちなみに、叔父は早くに奥さんを亡くしており、カビ臭い和室には仏壇があった。初めての体験である私には、この仏壇をどう処分すべきか、その時点では見当もつかなかった。ちなみに、仏壇や写真、アルバムなどは、遺品整理屋さんが供養をしたうえで引き取るというサービスを提供していることが分かり、それを利用した。
実は、この時、マンションに行った最大の理由は、マンションの権利書を探すことであった。誰かにそうするように言われて、そうしたのではなく、なぜか“権利書を見つけなければ”という気になっただけである。各部屋を一通り見た後、一緒に行った私の母と従弟と協力して、一部屋ずつ宝探しのように探していった。タンスや仏壇などの引き出し、書類が入っていそうな箱や缶、さらには布団の下など、可能な限り探したがそれらしいものは発見できず、以前住んでいた家の売買契約書とかマンション管理組合の議事録とかしか出てこなかった。
後日、司法書士の井手さんに確認したところ、権利書はなくても良いとの事であった。また、不動産の固定資産評価額についても、司法書士に委任状を出すだけで固定資産評価証明書を取ってくれ、あっさりと評価額が判明した。「無理に探さなくていいですよ。」と言われた時は、ホッとすると共に、最初から相談していればと後悔した次第である。
預貯金の通帳は、見つからなくても大丈夫(届出印も使うことがない)
権利書と同様、預貯金通帳も見つからないことがあるかと思う。叔父の場合、早くから施設に入っていた関係で、預貯金は私の父が叔父に代わって入出金をしていたので、通帳と印鑑は全て私の両親の手元にあった。とは言え、実は、叔父も把握していなかった定額貯金が、後日、私がゆうちょ銀行で手続きをしている時に発見された。おそらく先に亡くなった叔母が、内緒で(?)貯金していたのかと想像する。
預貯金通帳については、銀行での手続きを開始すると、口座解約または名義変更の依頼書なるものが送られてくる。それを見ると、口座の一覧を記入するところに、通帳があるか、紛失しているか、を記載する欄があることが多い。叔父と私の父の二人分の相続を進める中で、六行の銀行とやりとりをしたが、全ての銀行で通帳紛失であっても対応をしてくれるように書かれていた。また、今回は全ての口座を解約したのであるが、通帳の届出印を使うことは一度もなく、必要なのは、相続人の実印であった。
尚、叔父の相続の場合、相続税が発生するかどうか微妙な額であったため、司法書士の井手さんに税理士を紹介してもらい対応をお願いしたが、その中で、過去に生前贈与がなかったかをチェックするために、過去5年程度の通帳のコピーを求められた。こういうこともあるので、通帳は確実に残しておいた方は良さそうだ。
貴金属などにも要注意
叔父のマンションでの作業の中では、古い着物が少々出てきたが、貴金属などはほとんど出てこなかった。税理士さんの話によると、貴金属などは遺産として計算されるため、写真を撮っておくようにとの事であった。
次回は、現在進行中である銀行での手続きを中心に、皆様のお役に立てそうな体験談を報告したいと思う。銀行の手続きも関係者が多いとなかなか厄介だ。
(by おやじ1号)