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成年後見人制度

判断能力が十分でない成人の財産を保護するための制度が成年後見人制度になりますが、この制度には、次の2つの種類があります。

① 任意後見制度

自分が判断能力を失ったときに自分に代わって自分の財産を管理してくれる後見人を、自分に十分な判断能力があるうちにあらかじめ契約で決めておく制度です。十分な判断能力があるうちに公正証書による契約(任意後見契約)を締結し、判断能力が低下した際に家庭裁判所による任意後見監督人の選任がなされてから、任意後見人が職務を行う形になります。このような公的な監督が入ることで、安心して管理を任せることができます。

② 法定後見制度

判断能力が不十分になったときに、任意後見契約によって、あらかじめ後見人を決めていなかった場合に、家庭裁判所がその裁量で後見人を決める制度です。尚、判断能力の程度により、後見(判断能力がない場合)、補佐(判断能力が著しく不十分な場合)、補助(判断能力が不十分な場合)という3つの制度に分かれており、判断能力に応じた柔軟な対応が行えるようになっています。

法定後見の場合は、申立人が親族等を後見人候補者として申し出ることもできますが、後見人の選任はあくまでも家庭裁判所が行うため、後見人候補者が必ずしも後見人に選任されるとは限りません。そうなると、弁護士などの候補者リストから見ず知らずの第三者が後見人に選任される可能性もあるため、どうしても不安になってしまう面があります。従って、自分の判断能力があるうちに、信頼できる人との間で任意後見契約を結んでおくことは重要なことと言えます。

尚、この任意後見契約も、自分が正常な判断能力を持っている時点で締結しておく必要があり、そうでない場合には法律上無効になってしまいますので、認知症を疑われるような年齢になる前に締結しておくことが重要です。

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